起業家が知っておくべき5つの数字
- 池上秀志
- 2 日前
- 読了時間: 14分
こんにちは!
最近、つくづく思うに起業して成功する人としない人の違いは考え方と心構えにあるように感じていますが、とはいえ、やはり具体的な方法論、技術論も知らないと上手くいかないのも事実です。
という訳で、本日は起業家が知っておくべき5つの数字についてお話をさせて頂きます。
まず、基本的な考え方についてお話をさせて頂きますが、最近は様々な指標やビジネス用語が使われるようになっていますが、そういった用語や指標を使いこなせるようになることもよりも、起業において重要な数字を把握しておくことの方がより重要です。
これはどういう意味か?
例えば、KPIのような指標が導入されたとします。KPIとはKey Performance Indicatorの省略形であり、重要業績指標と訳することが出来ますが、平たく言えばその社員の働きぶりを何らかの形で数値化するということです。
一度、この指標が導入されると、各社員がKPIを改善すること、向上させることに躍起になります。基本的には、これで問題ないし、逆に問題があるのであれば、それはKPIの定め方に問題があります。基本的には、全社員がKPIを向上させれば会社の業績も向上するように設計されていなければなりません。
しかしながら、そもそも論ですが、一つの指標だけで社員の働きぶりを評価するということに無理がありますし、つまりは複数の指標を使いこなさないといけないのは当たり前のことですし、更に言えば、最終的に重要なことはお客様と従業員と自身の幸福です。
この幸福というものを厳密に数値化することが出来ない以上は、数字だけで判断すべきではありません。
そこで、何が大切になっておくのかと言いますと、最低限これだけは無視できないし、逆にこれさえ分かっていれば会社経営上、あるいは個人事業主として飯を食っていく分には問題ないという数字です。
そして、この数字は税務法上の経理ともまた違います。つまりは、税務署や銀行や資本家(投資家)達に見せる書類の作り方ともまた違うということです。つまりは、形式上の数字と実務上の数字は違うということを理解しておいてください。
では、実務上の数字において必要なことは何か?
本日はこれを説明させて頂きます。
起業家が知っておくべき数字その1:売り上げ
売り上げとは何か?
簡単に言えば、あなたの収入です。売り上げと収入を区別して考える人もいますが、その必要は全くありません。入ってきたお金から様々な支出に当てるということを考えれば、収入も売り上げも変わりはありません。そこに違いを見出す必要はないのです。
もちろん、他に株主がいる場合は、会社のお金と個人のお金は明確に区別する必要がありますが、100%自分が株を持っている場合や個人事業主の場合は会社の金は自分の金です。公私混同という人もいるかもしれませんが、公私混同で良いんです。
公私混同で何が悪いんですか?
会社が自分の所有物である場合、公私混同は当たり前です。それでなんら問題はありません。会社の売り上げ=自分の収入と考えてください。
そして、ここでも重要なことは事業とは売り上げを作ることであり、それ以外の何物でもないということです。
多くの人が会社を作るとか、起業をするとかいう時に、顧問弁護士をつけたり、会計士をつけたり、税理士をつけたり、会社のロゴを外注して作ってもらったり、事務所を借りたり、店舗を構えたり、色々なことを考えますが、肝心の売り上げを作るということを軽視し過ぎです。
これは嘘みたいな本当の話です。事業とは売り上げを作ることであり、それ以外の何かではありません。
もう少し別の言い方をしましょう。
事業で一番大切なことは収入を作ること、つまりお金が入ってくることであるのに、支出を増やすことばかりを人間は考えがちなのです。
それは何故か?
私も社長ですから、気持ちはよく分かります。だいたいの人間は自分の事業が持てることに舞い上がってしまうのです。浮足立っているのです。
「自分の店を持つのが夢だった」
一体何人の人がこう言うでしょうか?
多くの人が「自分の店を持つこと」を夢に見ます。しかし、多くの場合、「多くの顧客を獲得すること」を夢見ません。ここに大きな問題がある訳です。
これは一見小さな違いですが、大きな違いです。
何故ならば、「自分の店を持つこと」を夢見る人の多くが、店を構えていれば黙っていればお客さんは来てくれるという誤った幻想を持っているのに対し、「多くの顧客を獲得すること」を夢見ている人は、お客様を喜ばせること、そしてお客様を掴まえることを常に考えているからです。
更に言えば、売り上げの重要性を理解している人はだいたい二つ目の数字の重要性も理解しています。
起業家にとって必要な数字その2:必要経費
私がここで経費と書かずに、必要経費と書いたのには理由があります。その理由とは、ここでいう経費とは税務署や投資家や銀行に見せる経費とは異なるからです。ここで私が言っているのは必要経費であって、経費ではありません。
違いは何か?
必要経費とは文字通り、それが無ければ事業が成り立たないようなものを指します。
例えば、ラーメン屋さんをやるのであれば、ラーメンの具材、これは必須です。では、店舗の方はどうでしょうか?
店舗は必要ありません。だって、お客様の家まで作ったラーメンを届ければ良いんですから。私は店舗を構えることを否定している訳ではありません。ただ、必要品ではなく贅沢品だという話をしているのです。
もう一例あげましょう。
例えば、東京の取引先と話をつけるのに、京都から東京へと移動して商談するとしましょう。この場合、新幹線代は必要経費ではありません。
何故ならば、商談内容にもよりますが、電話やズームでも商談は出来るし、メールでのやり取りも可能だからです。もしかすると、直接顔と顔を合わせた方が商談は円滑に進むのかもしれません。
でも、断言できるのは必要経費ではないということです。
もう少し別例を挙げましょう。
仮に、京都から東京に行くとしましょう。この場合、新幹線ではなくて夜行バスで行くという手段もありますし、もっと細かい話をすれば私の事務所から京都駅までの約8㎞をタクシーではなく、徒歩で行けばお金はかかりません。
1時間半もあれば8㎞くらいは歩けます。
これをあなたは非現実的だと考えるでしょうか?
もしも、これを非現実的だと考えるのであれば、あなたは考えを改めないと起業は難しいです。起業とは如何に何もないところから何かを作り上げるかです。何かが無いと何も作れないような人間は、どうせ金があっても何も出来ません。
無から有を生み出す、これこそが起業の醍醐味なのです。
念のために書いておきますが、税法上、商談のために使用した新幹線代もホテルフォーシーズンズに宿泊した1泊50万円の領収書も経費で落ちますよ。それを経費で認めないっていう税務署がいたら、そちらの方がおかしいです。何故ならば、税務法上の経費とは事業に使用したお金のことだからです。
グリーン車に乗ろうが、ホテルフォーシーズンズに泊ろうが、事業に供したお金であれば、それは経費です。ただ、必要経費ではない、この考え方は分けて考えておくべきです。
また、経費も必要に応じて細分化して管理すべきでもあります。例えば、税務署に提出する書類には旅費交通費という項目しかありません。
しかしながら、もしもこれが大雑把過ぎると判断したのであれば、更に細分化して、交通費とホテル代に分けて管理しても良いし、新幹線代、ホテル代、その他に分けて細分化しても構いません。
私の場合は、そもそもそれほど移動することがないので、そこは細分化して考えませんが、ただ、外注費なんかはやっぱり細分化して考えます。つまり、誰にいくら支払ったかは把握しておきます。
そうじゃないと、その人の働きぶりに見合ったお金を払っているか否かの判断がつかないからです。
そして、厳しいことを言えば、そのうちのどれが必要経費で、どれが経費かをきちんと把握しています。つまり、もしも誰かを馘首(かくしゅ:クビにすること)しなければならないのであれば、先ずは誰を馘首して、次に誰を馘首して、最後に残すのは誰なのか、私の心の中では業績が順調な時から決まっているということです。
もちろん、そうならないように最善を尽くしています。
ですが、ここでも重要なことは必要経費と経費の違いを理解しておくことです。つまりは、贅沢品として雇っている社員と必要だから雇っている社員がいるということでもあります。
この感覚が分からない人は、永遠にイーロン・マスク氏がツイッターを買収した時に、全社員の8割を馘首した感覚は分からないでしょう。残酷な事実として、おそらく大企業の半分は贅沢品として雇われている社員です。必要な社員は多めに見積もって半分程度でしょう。この感覚が分からないうちは、一人前の起業家とは言えません。
起業家にとって重要な数字その3:自分と自分の家族が生きていくのに必要な一か月の数字
3つ目の数字は、税法上は経費として認められないが、実質上の経費とも言えるものです。死者に事業は出来ない、これは当たり前の事実です。生きているからこそ事業が出来るのであって、死んだら元も子もありません。だから実質上は、生きていくのに必要なお金は必要経費なのです。
ただし、税法上は経費ではありません。この違いも理解しておく必要があります。
そして、起業家が先ず目指すべきところは売り上げから必要経費を差し引いた金額が自分と自分の家族が生きていくのに必要最低限のお金を上回ることです。ここが先ずは目指すべきところです。
高級車でも大邸宅でも自家用ジェットでも、ファーストクラスに5つ星クラスの海外旅行でも、全裸美女シャンパンタワーでもなく、先ず目指すべきは売り上げから必要経費を差し引いたものが、生きていくのに必要な最低限のお金を上回ることです。
ここを目指す人はほぼ成功します。
逆に、浮ついている人の成功確率は低いです。
ただ、心の底から浮ついている人も成功確率は高いです。つまり、俺はトヨタの車なんか絶対のらねー、飛行機もエコノミークラスなんか絶対のらねー、俺は最高級品しか似合わない男なんだと信じ込み、ボロボロの衣服を身にまといながらも、自分は超一流の男だと信じ込んでいる男は成功確率高いです。
ですか、結論としては、どちらの感覚も身についているのがベストではあります。
これはファーストクラスしか飛行機は乗らないんだ、車はブガッテイ、フェラーリ、パガーニしか乗らないんだって言いながら、粗衣粗食の生活に耐えられる人、これが一番成功確率が高い人です。
ちなみにですが、日本人は長い悠久の歴史の中で、農耕生活が始まった4世紀から、「もはや戦後ではない」と言われた1956年あたりまで、ずっとご飯に味噌汁、あとはつけものか、菜っ葉か、魚が一切れか、焼き味噌か、そんな食生活でした。
そんな食生活が当たり前で、服は3年に1回新しいものを買う、そのくらいの生活に慣らしておいた方が成功確率は高いです。私の目から見れば、今の日本人が起業で成功出来ないのは贅沢病のせいです。
贅沢な暮らしにすっかり慣れてしまって、自分では贅沢だと思っていない、だから経費を下げられない、これが起業の成功を大きく妨げています。
「石の上にも三年」という言葉がありますが、三年辛抱すれば庶民に出来ないような贅沢が出来るようになるのだから、せめて三年、出来れば五年辛抱すれば良いのになというのが私の率直な感想です。
ちなみにですが、人を雇うなら、高学歴で社会経験豊富で優秀な三十代、四十代よりも学歴はなくても良いから、高卒か今まだ学生くらいでお金持ちになりたいという強い欲求を持つ人を雇うのが一番良いです。
もう三十歳過ぎたら大半の日本人は贅沢病に慣れてしまって、今さら生活水準を下げられません。その分優秀ならそれでも良いですが、寧ろ公務員や大企業の働き方に染まってしまっており、今さら厳しく鍛え上げるのも難しいというのが大半です。
もちろん、その時々の状況に応じて使い分けるべきではありますし、私自身も三十代、四十代の方を雇ってもいるので、絶対にダメという訳ではありませんが、成功するまでは赤貧洗うが如しという生活に耐えられるだけの覚悟と忍耐がある人の方が成功確率は高い、この原則は覚えておいてください。
そして、一度楽を覚えた人間は厳しい生活に戻るのが難しい、これも覚えておいてください。
事業には収入と支出の二つしかありません。如何に、収入を増やして、支出を減らすかが事業の要であるにもかかわらず、多くの人が支出を作ることばかり考えて、収入を増やす案には乏しい、これが起業があまりうまくいかない人が多い理由です。
起業家が知っておくべき数字その4:顧客獲得コスト
次に知っておくべき数字が顧客一人獲得コストです。一般には、広告宣伝費のことを指しますが、広告宣伝費とも限らないです。
何故ならば、営業マンを雇って、電話営業や訪問販売をする場合、この営業マンに支払う人件費が顧客一人獲得コストにかかるからです。
今の時代であれば、従業員を雇って従業員にユーチューブチャンネルを開設してもらう場合もあると思いますが、この場合もやはり顧客一人獲得コストに人件費が加算されます。税法上の勘定科目は人件費あるいは外注費になりますが、これが実質の顧客一人獲得コストに加算されます。
それから、店舗を構える場合もやはり、実質上の顧客一人獲得コストに加算されます。
何故ならば、店舗を構えて看板を掲げているからこそ人が来てくれるからです。繰り返しになりますが、形式上(税法上)の経費のつけ方と、実質上の経費のつけ方は異なります。これが理解出来ない限りは、起業家として数字を管理することは出来ません。
税理士や会計士になる上では、税法上の帳簿のつけ方は習うかもしれませんが、実務上の数字の管理の仕方は習わないでしょう。形式と実践は異なることを理解してください。
それが広告宣伝費であれ、家賃であれ、外注費であれ、交際費であれ、電話代(通信費)であれ、顧客一人を獲得するのに必要なお金は全て顧客一人獲得コストです。
起業家が知っておくべき数字その5:顧客一人が支払ってくれる平均単価
この顧客一人が支払ってくれる平均単価は、ある程度の時間の経過が経たないと分かりません。
何故ならば、業種によっては10年間で100万円を落としてくれるとかいう場合もあるからです。この数字だけ聞けば大きな金額だと思うかもしれませんが、案外そうでもないです。
例えば、10年間引っ越しをしたことが無い人であれば、一番よくいくスーパーですでに100万円くらいは使っていないでしょうか?
なんなら、100万円以上平気で支払っていないでしょうか?
要するに、そういうことです。ただ、10年以内に引っ越す人も多いですし、業種によってはリピーターさんを増やしにくい業種もあるでしょう。
例えばですが、私のような教育系のビジネスの場合、ある程度一人前になったらもう教えることもなくなりますから、いつまでもリピーターさんがいてもらっても逆に困ると言いますか、逆に指導能力がないんじゃないかという話になってきます(笑)
ですから、自分の業種に応じて、概算で良いから顧客一人が支払ってくれる平均コストを算出しておく必要があります。
そして、ここで重要なことは顧客一人が支払ってくれる平均単価から顧客一人獲得コストを引いた時に、プラスになっているということです。逆の言い方をすれば、ここがプラスになるように事業計画を立てれば良いということです。
あとは自分が一か月生きていくのに必要なお金と必要経費を足したお金を毎月、あるいは毎年確保するためには、一体毎月、あるいは毎年何人のお客様を集めれば良いのか、これを計算すれば事業が上手くいくかいかないないかの目途がたちます。
そして、起業というものは不思議なもので、自分と自分の家族が生きていくのに必要なお金を稼げるようになったら、その後は基本的には右肩上がりで収入は増えていくものなんです。
それは何故か?
何もないところから何かを作れる人は何かある状態から何かを作ることは簡単だからです。
如何に必要経費を低く抑えて、売り上げを作るかという発想からスタートした人は、後からいくらでも課金して加速させることが出来るんです。人を雇ったり、広告宣伝費を賭けたり、動画編集のスタッフを雇ったり、いくらでも課金して加速が可能です。
でも、何もないところから何かを作るには知恵もいる、情熱もいる、辛抱もいる、体力もいる、気力もいる、色々なものが必要になります。この試練に3年から5年間耐えられた人にはバラ色の人生が待っている、起業とはそういうものだとご理解頂けますと幸いです。
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