• 池上秀志

商談に臨む前に自信をつける方法

 前回の記事ではセールスとはあなたの中にある商品、会社、セールスパーソンに対する確信を見込み客に伝える行為であり、その確信を最も効率よく伝えるツールが直線説得法であるということを書きました。そして、その確信そのものはあなたの中にあるもので、直線説得法はその確信を作らない、あなたの中にすでにある確信を最も効率よく伝えるのが直線説得法であり、その確信そのものはあなたの中で作っておかなければいけないという内容でした。


 そして、その確信というのは論理レベルと感情レベルの両面で高めなければいけません。前回の記事ではこのうちの論理面での確信を高める方法について書きました。詳細は前回の記事をご覧いただきたいのですが、要約すると見込み客にプレゼンをする前に自分自身にプレゼンをしておきましょうということです。そして、論理面における確信を最も効率よく相手に伝えるには直線説得法を用いたスクリプトを使うことが必須になります。


 このスクリプトは対面での商談で使う台本、電話での商談で使う台本、ビデオプレゼンの台本、セールスレターの文面そのものなど、全ての商品販売の戦略に応用できます。


 今回の記事のテーマは感情面での確信です。自分の中に生じた感情レベルでの確信を相手に伝えるには、声の口調やトーン、身体言語といった非言語的コミュニケーションが重要になります。


 ですが、今回はもっとそれ以前の問題として、あなたの中にある感情レベルでの確信を高める方法をお伝えしたいというふうに思います。人は生きていればつらいことも悲しいこともありますし、毎日オロナミンCを飲まない限りは毎日が元気はつらつという訳にはいきません。当然疲れている日も気乗りがしない日もあります。私だけは例外だと言いたいのですが、残念ながら私も例外ではなく、疲れているときもあります。プライベートで嫌なことが起こることもあります。


 でも、それによってセールスパーソンとしての私の能力が影響を受けることはありません。ここで考えてみていただきたいのですが、一日の中で見込み客と接している時間はどのくらいあるでしょうか?これはかなり長い人でも合計6時間くらいではないでしょうか?仕事をしている時間ではなく、実際に見込み客の方と接している時間です。


 そして、通常は一人の見込み客の方と話す間にたとえわずかであってもインターバルがあります。電話営業なら、一度電話をかけて電話を切り、そのあとすぐに電話をかけるとしてもわずかな間があります。そのように考えていくと、別に一日中ピークの状態を持っていく必要はありません。間隔をあけながら、見込み客の方と話をするときだけ、ピークの状態を作れば良いのです。


 とは言え、これができる人と出来ない人がいるのもまた事実です。どうしても、自分の日々の感情の揺れや身体的なコンディションが影響してしまいます。また、セールスパーソンが最も影響を受けるのは自身のセールスの実績です。売れているときは良いのです。売れている時は売れるという事実が自分の確信に強い影響を与え、いつもよりも強い確信をもって商談に臨めるので、ますます売れるようになります。見込客も売れていない人よりも売れている人から買いたいので、ますます売れて、ますます確信度合いが強くなるので、ますます売れるようになるという好循環が生まれます。


 問題は売れないときやまだセールスパーソンとしての実績がない時なのです。訪問販売やテレアポ営業でありがちなのですが、午前中いっぱいできるだけ多くの人と話をする、電話なら午前中だけで100人近くの人と話すことも可能でしょう。そして、残念ながら100人連続でアポが取れなかったとしましょう。そうすると、あなたの表情は険しくなり、やる気が低下し、声は悲しげで憂鬱なトーンを含み、その状態で電話をかけるので、ますますアポを取るのが難しくなるという具合です。これを避けるための方法が今からお伝えする方法です。


パブロフの犬の実験

 あなたはロシアの生理学者イワン・パブロフの名前を聞いたことがあるでしょうか?イワン・パブロフがした実験はとても有名で高校生物の教科書や中学理科の教科書にも載っているので知っている方も多いと思います。簡単に書いておくと、犬に肉をあげる前に必ずベルの音を鳴らすということを何度も繰り返すと、肉がなくてもベルを鳴らすだけでよだれが出るようになるという条件反射の実験です。


 この条件反射というのは、どこにでもあります。スポーツ選手なんかは、一瞬の判断が求められるので、条件反射的に体が動くまで訓練しますし、セールスパーソンは無意識のうちにスクリプトが出てくるまで、それも単にしゃべるだけではなく、特定の声のトーンで、特定の身振り手振りで話せるようになるまで反復練習します。


 この時あなたが意識するかしないかに関わらず、アンカーとトリガーという関係性が生まれています。例えば、野球選手でいえば、ピッチャーがボールを投げる、真っすぐを待っていたけれど、カーブだった、思わずタイミングを外されたけど勝手に体が反応して、何とかヒットを打つことができたというような場面では、「ストレートを待っていたけど、カーブが来た」という条件=トリガーに対して、一瞬タメを作ってグリップを後ろに残し、ヘッドをしならせるように遅らせて出して、最後に手首を強く返してヒットにするという反射=アンカーがセットされている訳です。これができるまでにプロ野球選手は気の遠くなるような反復練習をしていると思います。


 そして、これは人間の感情面にも働きます。私の知り合いに大勢の前で話すと体が震えるという人がいます。このケースでは、大勢の人の前で話すというのが条件=トリガーで、体が震えるという状態が反射=アンカーです。日本語では条件反射の実験として覚えられていることが多いパブロフの実験ですが、心理学の世界ではアンカーとトリガーの関係性と記述されることが多いです。


 ある状態を引き起こす条件のことをトリガーと言い、その条件によって引き起こされる状態のことをアンカーと呼びます。パブロフの犬の実験でいえば、よだれが出るという状態がアンカーで、ベルの音がトリガーです。人間とは不思議なもので、このアンカーとトリガーは何でもありで、そこに論理的な関係性は全く必要ないのです。


 例えば、父親とのドライブが大好きで、その父親の乗る車は大型車で、エンジン音も振動も大きいというような場合は、大人になってからも大型車特有のエンジン音や振動を感じるだけで、楽しい気持ちになります。一瞬で子供のころの楽しい思い出がよみがえるのです。


 逆にベトナム戦争でトラックの荷台に乗って輸送される途中で敵の待ち伏せに会い、隣の戦友の頭が吹っ飛んだという経験がある人は、トラックのエンジン音やその振動を感じるだけで、その瞬間がよみがえってきてとてつもない恐怖や悲しみに襲われるというアンカーが生じます。何がトリガーで何がアンカーになるかにはほぼ無限の可能性があります。私たちの潜在意識というのはそこまで合理的に作りこまれていないのです。


 このアンカーとトリガーが形成される条件にはいくつかの条件があります。先ず第一にアンカーとトリガーの関係性が強固に形成されるには情動の強さと反復回数という二つの要素があります。例えば、戦争に行って隣の兵士の頭が吹っ飛ばされたとか敵の捕虜になって苛烈な拷問を加えられたというような強烈な情動を伴う場合には一瞬でアンカーとトリガーの関係性が構築されます。一方で、商談が上手くいって契約が締結したというようなものは、セールスパーソンにとっては大きな出来事なのですが、生死にかかわるほどのインパクトはありません。ですから、反復が必要になります。


 次にトリガーとなるものですが、トリガーはある程度極端でなければいけません。例えば、普通の呼吸をトリガーに設定することはできません。あまりにも普通なので、トリガーになりえないのです。でも、深く逆腹式呼吸をするというのは、トリガーになりえます。逆腹式呼吸というのは息を大きく吸って、おなかを膨らまし、吐くとともにおなかをへこますという普通とは逆の呼吸のことです。これは普段の呼吸とは異なるので、トリガーになりえます。私は、集中状態というアンカーをこの逆腹式呼吸に結びつけています。


 一度、オーストリアのヴィーンの遊園地に同僚と遊びに行ったときに射撃ができる場所がありました。その時も一発打つ間に必ず逆腹式呼吸をして、集中状態を作って臨み、ほぼフルマークでした。「良い大人が遊園地でなに本気出してんねん」って自分でもおかしくなりましたが、トリガーとアンカーを仕掛けておけば、遊園地でもどこでも高い集中状態を作れるということです。


トリガーとアンカーの作り方

 普段私たちは無意識のうちにトリガーとアンカーの関係を作ってしまいます。これは望むと望まざるとに関わらずそうです。例えば、イチロー選手のバッターボックスの独特の動作、あれをやった瞬間に最高の集中状態に入ってしまうはずです。イチロー選手がトリガーとアンカーの関係性を意識してわざとやっているのかどうかは私にはわかりません。分かりませんが、バッターボックスに入り、投手と対峙し、あのモーションをするということを何千回と繰り返しているうちにアンカーとトリガーの関係性は強固になっているはずです。


 逆に戦争、災害、犯罪などによるPTSDを患ってしまう方は、無意識のうちにトリガーとアンカーが設定されてしまい、自分でもどうしようもなくなるのです。自分でもどうしようもなくある条件下において、その情景や情動記憶がよみがえり、その出来事の後も苦しみ続けるのです。


 このようにたいていは無意識のうちにトリガーとアンカーが設定されてしまうのですが、人工的に設定することも可能です。これには人間の記憶を使います。セールスパーソンであれば、最もタフなセールスで契約を締結した時の記憶、最も自信が持てた時の商談で契約が締結した瞬間、人生で最もうれしかった契約締結の瞬間などなどを思い出し、その時の記憶とある種のトリガーを結びつけます。


 アンカーとなる記憶は出来るだけ強い確信や自信が持てた時のもの、あるいはお客様に喜んでもらえた瞬間のものを選びます。


 ではトリガーはどうするか?実はトリガーに最も適しているのは、匂いです。あなたも草のにおいをかいだ瞬間に小学校の夏休みの記憶がよみがえってきたり、おじいちゃんのにおいをかいだ瞬間に懐かしい気持ちになって安心したり、昔使っていたグローブの川と汗の入り混じった匂いを嗅いだ瞬間に少年野球に打ち込んでいたあの瞬間にタイムスリップをした経験がないでしょうか?


 誰にでもあるはずです。その証拠を提示して差し上げましょう。2020年に大ヒットした曲はなんでしょうか?「香水」という曲が大ヒットしましたよね?君のドルチェ&ガッバーナの香水のせいで君のことを思い出してしまうというあの曲です。人間の記憶と嗅覚には強い結びつきがあるのです。これは脳の中の嗅覚をつかさどる部位と記憶をつかさどる部位が隣にあるからだと言われています。


 ですから、トリガーには嗅覚を使うのが非常に有効なのです。この匂いはある程度強くて、しかしながら見込み客の方に不快な思いをさせないという二つの条件を満たす必要があります。このように考えると、私の中では二つの選択肢しか思い浮かびません。


 1つ目は、手首に好きなにおいの香水をつけておくことです。自分が今まで最も確信を強く持てた商談で契約が締結した瞬間の記憶をアンカーにして、何度もその記憶を思い出してその香水の匂いをかぎます。


 2つ目は、Boom Boomというリップスティックのような形状の鼻の穴に入れて直接匂いを嗅ぐ商品です。これは私の師匠のジョルダン・ベルフォートから教わったものです。本来は勉強の時のリラクゼーションを目的として作られたもののようですが、これは使えます。


アンカーをどんどん強固にしよう

 人間の記憶の中で最も強い記憶はどのような記憶でしょうか?それはたった今起きたばかりの記憶です。あるトリガーによって数十年前の記憶が鮮明によみがえるということもあるのですが、一般的には20年前の記憶よりも5分前の記憶の方が鮮明です。また繰り返しやっていくうちに、より高額な商品を売るとか、一日の最高売上額を更新するとか、色々とセールスパーソンとして成長すると思います。そのたびにより強いアンカーを設定するために、商談が終わった瞬間にそのにおいをかぐということを繰り返してください。


 もう一度書いておきましょう。プロ野球選手が素人よりもはるかに野球がうまいのは何故でしょうか?それは気の遠くなるような反復練習を繰り返して、条件反射を強固にしているからです。ただ反復するだけではありません。理想の動きを反復しているのです。セールスパーソンも売れる度に同じ匂いをかぐことで、アンカーとトリガーの関係性が強固になります。このような観点からも、トリガーとして仕掛ける匂いは常に持ち歩けるもので、契約が締結するたびにその匂いを嗅げるようにしてください。


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