こんにちは、直線説得法マスターの池上秀志です。
前回のブログでは「何故話し方と見た目を変えるだけで成約率が劇的に上がるのか」というテーマで記事を書かせていただきました。要約すると、話し方や見た目によってプラス点を稼ぐこともできるけど、一番大切なのはマイナス点を稼がないことということでした。
では、爽やかに礼儀正しく、相手の感情を充分にプラスの方向にもっていくことが出来れば、商品が売れるのでしょうか?決して、そうではありません。人は感情と論理の両方で物を買います。人は感情で物を買うので、論理は関係ないという人もいますが、単純にそれは真理ではありません。これは実際に現場で商品販売したことがある人ならお分かりいただけると思います。
そして、「人は感情で物を買う」と言っている人もよくよく聞けば、「人は感情で物を買い、論理で正当化する」と言っていることがほとんどです。このテーマを突き詰めて考えていくとそもそもどこまでが論理でどこまでが感情かというテーマから考える必要があります。論理的に考えて買う場合でも、「買おう」とか「買いたい」という気持ち自体は気持ちです。感情かどうかは分かりませんが、心の動きですから、100%論理とは違います。
ここで言いたいのは、いずれにしても人は感情と論理の両方から買うということです。そして、ここでいう論理とは「この商品を買った方が良い」理由の論理的な構築であり、もう一歩踏み込んで考えると、「今買った方が良い」理由の論理的な構築です。この論理の構築が何故強力に働くかというと、そもそも人は理由がなければ行動しない生き物であり、逆の言い方をすれば、理由があれば行動する生き物だからです。
人間はランダムに動くようには出来ていません。それが正しいかどうかは別にして、必ずその人なりに理由があって行動します。そして、その理由が明確であればあるほど強いモチベーションとなります。例えば、私が販売しているランナー向けのオンライン講座で言えば、まず大前提として長距離走・マラソンをやっていて、なおかつ速くなりたいとか、ある大会で上位に入りたいとか、ある大会の出場権を獲得したいという人を集める必要があります。これはマーケティングです。
そして、そうやって集めた人が私のコンテンツを買うには必ず理由が必要です。何故、これを買った方が良いのか、そのメリットを提示します。そのメリットはプロの知識を使うことで、超効率的努力を実現し、最短最速で目標に到達できる、もしくは自分の想像をはるかに超えるところに到達できるからです。
では、それは何故なのか?それは長距離走・マラソンが速くなるにはトレーニング、リカバリー戦略、心について正しい理解をして、なおかつ実践することが出来るようになるからです。では、何故それを理解して、実践するとタイムが伸びるようになるのか?それは長距離走・マラソンが速くなるとは、細胞にある負荷をかけて、その負荷に従って細胞が生まれ変わり、今よりも長距離走・マラソンに適した体に細胞レベルで作り変えられるからであり、これをトレーニング刺激に対して適応するというが、この適応を引き起こすために・・・と説明していくわけです。長距離走・マラソンをやっていない人も多いと思いますので、ここでは、別の例を出しましょう。
例えばですが、早くベッドに入って寝なさいと言っても「いや、自分は6時間睡眠で大丈夫」と言われたら、あなたはどう返しますか?
大人になれば、もちろん寝る時間は自分で決めればよいのですが、でも研究結果では、パソコンの画面に光が点灯した瞬間にクリックをするという単純作業で集中力を図った結果、一日徹夜するだけで、大幅にミスの数と反応速度の低下が見られました。これはみなさん予想通りだと思います。
問題は4時間睡眠を3日続けると、一日徹夜するのと同じレベルまで集中力が低下したことです。そして、6時間睡眠を7日続けると一日徹夜するのと同じところまで低下しました。しかも、この集中力の低下に限界値は確認できず、6時間睡眠二週間で二日徹夜レベル、6時間睡眠三週間で三日徹夜レベルとどんどん集中力が低下していきました。
そして、通常は3週間とか一か月とかかけて徐々に集中力が低下すると、本人の中でもそれが普通になってしまいます。要するに、本当は単純に睡眠時間が短いだけなのに、自分はそもそも集中力がなく、知的生産性が低く、要するに頭が良くないと思い込んでしまうことです。そして、知的生産性が低い状態で、作業をすると余計に仕事が終わらないので、ますます残業時間が増えて、睡眠時間が増えるという悪循環になります。だから、「自分は6時間睡眠で大丈夫」と思い込んでる人ほど早く寝た方が良いんです。
どうでしょうか?これが論理の力です。ここまで言っても、最終的に早く寝るかどうかは本人次第なのですが、そこに論理的な理由があるかどうかで大きく変わることは間違いがありません。そして、この論理を作るのがセールススクリプトです。このセールススクリプトは訪問販売でも、プレゼン動画でも、コピーライティングでもすべてにおいて必要なセールス三種の神器の一つです。ではセールススクリプトを書くメリットは何でしょうか?
セールススクリプトを使うメリット7つを論理的に解説したいと思います。
1. 常に論理的に話すことが出来る
メリットの1つ目は、常に論理的に話すことが出来るということです。あらかじめ自分が今日何を言うのか、一言一句準備が出来ていれば、変なことを言わずに済みます。誰しも一度は経験があると思うのですが、セールスパーソンも一生懸命話せば話すほど、事実と異なることを言ってしまったり、その場の思い付きででたらめを言ってしまったり、リップサービスのつもりが相手に不信感を与えたり、色々なことを言ってしまいます。売れるセールスパーソンは、時に言わなくても良いジョークを言ってしまうことはあるかもしれませんが、絶対に言わないのが「それを言っちゃあおしまいよ」というその一言ですべてが台無しになるようなことは絶対に言いません。
信じてもらえるかどうかは分かりませんが、新人研修レベル、もしくはトレーニングを受けていない営業部隊が簡単に売り上げを上げる1つ目の方法は「それを言っちゃあおしまいよ」という一言を言わせないことです。
2. 声のトーンや口調に集中できる
何を言うべきかが明確にわかっていれば、あとはどのように言うかに集中することが出来ます。声の口調・トーン、身振り手振りを有効に使うことにより相手により大きな影響を与えることが出来ます。
3. ベストな言葉の並びやフレーズを見つけ出すことが出来る
先日ある人のユーチューブを見てると「壮絶に絶句するレベルで、想像を絶する壮絶さ」という言葉を使っていてそれが耳に残ってはなれなくなりました。ちょっとセールスプレゼンテーションで使うには、奇をてらいすぎかもしれませんが、言葉には美しく聞こえる言葉の並びと、そうではない並びがあるのは間違いがありません。最も美しく、耳障りが良く、インパクトの強い言葉の並びは自然と聞いてるほうも気分が良くなります。
4. 相手の話に耳を傾けることが出来る
これも経験があると思うのですが、相手の話を聞きながらも次はどのように話そうかなと考えているときがないでしょうか?私はあるのですが、これをやると意識が分散するので、相手の話をしっかりと聞くことが出来ません。相手の話をしっかりと聞くというのは売れるセールスパーソンの一つの条件です。事前にスクリプトがあれば、相手の話に全神経を集中させることが出来ます。
5. 緻密な論理を組み立てることが出来る
あなたがアインシュタインでもない限り、いつもいつもその場で緻密な論理をくみ上げるのは難しいです。自分だけが分かるのではなく、相手にもわかるように緻密な論理を組み上げるにはやはり考える時間が多い方がよく、何日もかけて考えるのが望ましいです。つまり、事前に準備していないと無理だということであり、この事前の準備こそがセールススクリプトです。
6. 営業部隊を仕組化する
毎年新入社員が何人も入ってきたとしても、生まれながらのセールスパーソンは100人に一人も満たないでしょう。むしろ、割合的には営業が苦手な人がほとんどです。その営業部隊をある程度体系的に育て上げるにはスクリプトは必須です。一から試行錯誤させていては、時間がかかってしょうがないですし、ほとんどの人が出来ないからドロップアウトしてしまいます。でも、スクリプトがあれば、少なくとも何を言うかに関しては、売れるセールスパーソンと同じ内容が話せるようになります。
7. 嘘をつかなくて済む
セールスパーソンは一生懸命喋れば喋るほど、悪気なく嘘をついてしまうことがあります。この嘘には、そもそも会社のシステムやルールをすべて覚えていないということも含まれます。そして、もっとも典型的なのは、郵政民営化された直後の郵便局でしょう。この前まで国営で営業のノウハウのない郵便局員に厳しいノルマを課した結果、お年寄りをだますような形で保険の契約をさせるケースが出てきました。これもきちんと倫理的なスクリプトを作っていれば防げたはずです。
そして何よりも上が下に不正を指示したら、下の人間は会社のお金を横領したり、何らかの形で不正を働くようになります。上の人間が泥棒なら、下の人間は泥棒からお金を盗むことに罪悪感を感じません。これは比喩ではなく、実際にいくつかの会社で起こった話です。先ずは、倫理的なスクリプトを作ることが第一歩です。
そして、倫理と論理は漢字だけではなく、中身も似ています。何故なら、論理の世界に嘘は混じらないからです。3+3=6とか、三つの頂点と、三本の線分から構成される内角の総和が180度である図形は三角形であるという世界に嘘は存在しません。
セールスの場合は感情と論理の両方からアプローチするので、学術論文とは少し違いますし、自分の販売する商品によって方向性を決める必要があるのですが、一般的には論理的であればあるほど、嘘が混じらないので、正直かつ誠実で相手からも信頼されます。
ちなみにコピーライティングに関しては、私の経験上は学術論文形式をベースに少し、セールステクニックや業務連絡を入れたものが最も効果を発揮します。
最後にセールススクリプト反対派の意見の人に向けて少し書かせてください。セールススクリプト反対派の人もかなりたくさんいるのですが、その理由は主に下記の3つです。
・棒読みになる
・画一的な対応しかできなくなり、かえって信頼されない
・一人一人の人間に対して、全てマニュアル通りの対応をするのは失礼
ここでは簡単に反論していきます。反論というか、事実としてしっかりと構成されたセールススクリプトを使えば、成約率が上がるのですが、その理由をお伝えしたいと思います。
まず棒読みになってしまうのは、練習が足りないからです。目をつぶって、あなたがこれまでに見た映画の中で最も心を動かされたシーンを思い浮かべてみてください。思い浮かべましたか?ここで一つの事実を思い出してください。そのシーンの全ての登場人物はスクリプトを読んでいるのですよ?でも読んでるようには見えないですよね?そこまで、練習する必要があります。
2つ目に、セールススクリプトは言ってみれば理想のルートです。この理想のルートがはっきりと見えているからこそ、どこを目指すかが分かり、成約率が上がるのです。ただし、もちろん一言一句画一的な対応にはなりません。相手が巨人ファンだと言ったら、しばらく熱心に相手の話を聞いて、もう一度スクリプトに戻します。この時、理想のルートが分からないと、一度脱線したら、脱線しっぱなしです。
3つ目に、一人一人の人間に全てマニュアル通りの対応をするのは失礼という反論ですが、セールスパーソンの仕事は相手のニーズやウォンツに応じてぴったりの提案をするのが仕事なので、マニュアル通りと言えば、マニュアル通りなのですが、相手の存在を無視している訳ではありません。ただし、これは職務を遂行しているだけなので、逆にマニュアル通りじゃないと困ります。老人が来たら邪険に扱い、きれいなお姉さんが来たら口説きだすようでは困ります。プロとはどんな状況でも自分の職務を遂行する人たちのことであり、そういう意味ではマニュアル通りでないと困ります。勿論、そのマニュアルは何パターンもあり、想定しうるすべてのケースに対応できるように作られていないといけません。
今回はセールススクリプトを使うメリット7選についてお届けさせていただきました。次回の記事では売れるセールススクリプトの条件についてお届けさせていただきます。新着記事を見逃したくない方はメルマガ登録をお願いします。
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