売れないのは自分のせい
あなたは素直にそう思えていますか?
世の中には景気がある。
様々な運がある。
商品に流行り廃りがある。
売れる商品と売れない商品がある。
これは紛れもない事実です。実際に、私もプロランナーという勝負の世界で生きてきて運とかめぐり合わせというものの重さを実感することがあります。
先日もマレーシアのクアラルンプールで開催されたハーフマラソンに出場し、誘導ミスで15秒ほどロスしたのですが、ゴールした2つ前の選手との差は6秒でした。誘導ミスがなければ賞金の額も変わっていたかもしれません。
ですが、多少の運があったとしても売れる人は売れるし、売れない人は売れない、基本的にはその人の実力なんです。
ところが、これが理解できない人が非常に多いように感じます。
実は売れないのも売れるのも自分のせいであるのは飛行機に乗れば分かります。
あなたは今までどのくらい海外に行ったことがありますか?
数えてみると私は11回ありました。これは平均的な日本人と比べて多い方なのではないかと思います。
今これをお読みの方の中でベルリンに行かれた方は何人くらいいらっしゃいますか?
オーストリアは?
クアラルンプールは?
ハノイは?
ケアンズは?
あるいはあなたの身の回りには何人くらいいますか?
普通はそんなに多くはないと思うんですよ。私の周りで言えば、私の祖母はまだ外国にいったことがありません。両親は新婚旅行のハワイだけ、妻はアジアに3回ほど行ったことがあるだけです。
そんなものだと思います。
ところが、ヨーロッパから飛行機に乗っても、アジアから飛行機に乗っても、オーストラリアから飛行機に乗っても必ず日本人が乗っているんです。行きも帰りも乗っています。それも一人や二人じゃありません。
さすがに、ドーハからケニアのナイロビに行く飛行機とナイロビからドーハに行く飛行機にはそんなにはいなくて、日本人を見かけたらお互いに「おー!」という感じですが、それ以外の飛行機には必ず日本人が乗っています。
でも、身の回りにベトナムのハノイに行ったことがある人が何人いるかとか、クアラルンプールに行ったことがある人が何人いるかとか考えた時に、ほぼいない訳です。
要するに、身の回りに買ってくれる人がいないから「これは売れない商品なんだ」と思ってても買ってくれる人はちゃんと世の中にいるっていうことなんですね。もしも売れないのであれば、そういう人たちにアプローチして、実際に買ってもらえるように説得出来ていないあなたが悪いんです。
先日面白い記事を読んでいたのですが、ラブホテルで働いている従業員の方がこれまででその使い方すら皆目想像がつかなかったのが藁だそうです。清掃で部屋に入ったら、藁が置いてあって「一体これは何に使うんだ」と思われたそうですが、実はどんなにマニアックな趣味嗜好でも一人いたら二万人はいると言われています。
その理論に従えば、アダルトグッズとして藁を売れば潜在的には二万人の需要があるということなんです。
あるいは最近話題のジャニーズ事務所に目を向けてみましょう。
もしも、あなたが政財界の大物で同性愛者だったとしましょう。今ならともかく、昭和の時代なら絶対にバレたくなかったと思います。とは言え、性欲は消えません。そんな時に、絶対にバレないことで信頼があり、常にイケメンを供給してくれて、10代の男の子まで供給してくれる事務所があったとすればどうでしょう?
同性愛者の数はそれほど多くありません。しかし、同性愛者の数が多くないからこそ競合他社(他者)の数も多くありません。一人勝ちする可能性は高く、一代で事務所を大きくすることも夢ではありません。
これはあくまでも仮定の話で、ジャニーズ事務所がそういうことをしていたという話ではありません。
私が言いたいのはそのくらいニッチな市場は強く、需要が売れないから売れないということはなく、寧ろ需要が少ない業界こそ、競合他社(他者)が少ないから勝負するには良いし、またお客様からしてもニッチな市場ほど、替えがきかないので質の良い供給者がいれば喜んで取引するものなのです。
そして、これもまた当然ですが、ニッチな市場ではなく、皆が欲しがるようなものであれば、当然買いたい人はいる訳です。食品、車、不動産などがこれに当てはまります。この場合は、買いたい人がいるけれど、大手企業との競争力をどうやって持つか、あるいは同じ食品でも地元の無農薬野菜を買いたい人だけにターゲットを絞ったりして、あえてニッチな方向に行くのも一つの手です。
いずれにしても、何を売っても売れないのは自分のせいであるということです。
考え方を変えれば、売れないのが自分のせいということはやり方次第で、ちゃんと売れるということです。このことが分かると二つの強みを持つことが出来ます。
先ず第一に、景気に左右されなくなります。そりゃまあ、全く左右されないということはないかもしれませんが、景気が悪いから潰れるということはありませんし、私自身もコロナ禍に起業して売り上げを伸ばし続けています。
そして、第二に自分の好きなことを仕事にすることが出来ます。だいたいの人は起業ではなくて就職という選択をします。これはお金を稼ぐ手っ取り早い方法は人がやりたくないことをやることだからでしょう。
絵描きになるとか、漫画家になるとか、小説家になるとかいうと「馬鹿野郎!好きなことだけして飯が食えるか!」なんて怒られてしまうのですが、売れるも売れないも自分次第ですから、ちゃんと自分の好きなことで飯が食えます。
少なくとも、自分が好きということは他にも同じ需要を持っている人が2万人はいるということです。
2万人いると言っても1億2000万人中の2万人ですから、昔ならそこに到達するのはむずかしかったと思います。田舎で店を開いてその2万人にアプローチすることは非常に難しかったと思います。
ですが、今はインターネットのお陰でそれが簡単になりました。私はインターネットの普及で地域社会のつながりや家族の繋がりはこれからどんどん希薄になると考えています。何故なら、昔は趣味が合わなくても地域社会の中で楽しむしかなかったかもしれませんし、あるいは仲良くしておかないと村八分にされたら生きづらいということもあったと思います。
今は趣味の合う人とインターネットで繋がれるので、わざわざ趣味が合わないご近所さんと仲良くする必要がないのです。SNSで犯罪に巻き込まれることもあるので、10代の子供にインターネットを使わせることに慎重になる親御さんの気持ちも分かりますが、逆に学校で友達が出来なくてもインターネットで友達が出来るとか、学校でいじめられてもインターネットで友達が出来るとか、保険的な逃げ道が残されているので昔ほど悩まなくても良くなっていると思います。
商売も同じで、今目の前に、あるいはあなたのご近所さんにあなたの販売する商品に興味のある人が一人もいなくても、ちゃんと商売が成り立つ時代になっています。
冷静に考えるとブランド物のバッグとか財布とか服とか高級時計とか全部そうですよね。1個30万円のバッグとか1個300万円の時計とか正直意味が分かりませんが、それでも欲しい人はいます。こういったものも非常にニッチな市場と言えるでしょう。
それから、あなたは数万円とか数十万円とか100万円以上するようなお茶碗を買ったことが人生で何回ありますか?
私は一度もありません。
私の実家はそんなお茶碗を売っている茶華道具店です。もう50年以上も続いていますし、京都には400年続いているようなお店もあります。
これなんかもそういうのが好きな人は大量生産された普通のお茶碗ではもうお抹茶が飲めないのでしょう。そして、職人さんが作るお茶碗なんて一つ一つ味わいが違う訳ですから、一つ買う人は何個も買いたくなるのでしょう。
どんな商品でも売れると豪語すると勝手に「どんなゴミ商品でも言葉巧みに売りつけることが出来る」と勘違いされることが多いのですが、そういうことではなくて、価格に見合った品質やサービスの質であれば、どんなにニッチな商品でも、どんなにマニアックな商品でも、景気が悪くても、ちゃんと売れるということです。
最後に、じゃあ具体的にどうやったら売れるのかということを解説している拙著『情熱を金に変えろ』(3000円)を紹介させて頂きます。実はこちらの書籍の原稿データをPDFファイルで無料でプレゼントしておりますので、もっと詳しく知りたい方は是非こちらをクリックしてご覧ください。
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